milanhime夜未眠

＜欧州ＣＬ＞◇１次リーグＥ組◇６日◇ミラノほか◇２試合
　昨季準優勝のＡＣミランが３－２でシャルケを下し、大混戦のＥ組を首位で通過した。引き分け以下なら１次リーグ敗退という状況だったが、ＭＦカカ（２３）の２ゴールなどで４年連続の決勝トーナメント進出を勝ち取った。すでに突破を決めていたＧ組リバプールは、０－０ながら首位を守った。この日新たにＰＳＶ、レンジャーズも名乗りを上げ、これで１６強のうち１３チームの進出が決定した。　ＡＣミランを決勝トーナメントへ押し上げたのは、沈着冷静なカカだった。
　１－１で迎えた後半７分、中盤からドリブルで持ち込んだＦＷシェフチェンコのパスをゴール前、右４５度で受ける。素早く右足を振り抜き、ゴール対角へ鮮やかな勝ち越しゴールを決めた。さらに８分後、シュートし損なったシェフチェンコからラッキーな形で転がる「パス」に反応し、相手マーカーを右へ抜き去りシュート。これで３－１とリードを広げた。
　まさしくサンシーロは、カカ天下だった。寒いこの夜は「スッポン料理」を手ほどきしてみせた。アウエーで対戦した際、相手ＭＦポウルセンから挑発された。スッポンマークを得意とするこの男、昨年欧州選手権でイタリア代表ＦＷトッティをおとしめたことでも有名。その「つば吐き事件」で、ローマの王子様を出場停止に追い込んだ張本人なのだ。図らずもこの日の主審は、その試合を裁いたメフト・ゴンサレス氏。ただならぬムードも漂った。
　ただし、肝っ玉カカは墜（お）ちなかった。相手の激しいマークにもひるまない。ましてやツバも吐かない。むしろ縦横無尽なフリーランニングで、楽しげにスッポン男を振り回した。加えてホームのサポーターも後押し。ポウルセンがボールに触れるたびにブーイングを浴びせ、「イタリアの敵」の戦意をそいだ。実際、ＡＣミラン２、３点目の場面で、ポウルセンがタックルを外され、そこからゴールへとつながっていた。
　「今日はアウエーに比べ、ポウルセンが僕をフリーにしてくれたね」。そう語るカカの方が一枚上手だった。感情が収まらぬポウルセンは試合後、狂犬ガットゥーゾと小競り合い。切り裂かれたスッポンは、ＡＣミランにとって滋養強壮となった。「これで明日からインテルとのダービー戦へ、いい準備ができそうだ」。賢いカカは、トーちゃん（トッティ）とは違った。