半沢役の堺雅人

　今夏の大人気ドラマ「半沢直樹」は、１５日（第９話）の平均視聴率が３５・９％、瞬間最高視聴率４０・１％をマーク。ＴＢＳ局内もさぞお祭りムードかと思いきや、逆に緊張感に包まれているという。それもそのはず、２２日の最終回で２０１１年大ヒットした日本テレビ系ドラマ「家政婦のミタ」超えを狙っているからだ。そのため“禁じ手”まで使ったことが本紙取材で判明。また“ミタ超え”以外の狙いもあった――。

「勝負は最終回ですね。上層部から、『家政婦のミタ』を平均視聴率で超えろと大号令されているんです。ミタの最終回は平均４０・０％。瞬間最高で４２・８％だったので簡単じゃありませんが、最後の大勝負に向け局内の空気は張り詰めてますよ」。こう話すのはＴＢＳ関係者だ。

　本紙既報通りＴＢＳは当初、「半沢直樹」がここまで高視聴率になるとは考えてなかった。だが状況が変わったことで、一気に方針転換。ドラマ史に残る伝説を作ろうと躍起になっている。そのため“禁じ手”まで使った。インターネットの動画広告である。

　本紙が確認したところ「ＴＶ　ＬＩＦＥ」「ウレぴあ総研」などのエンタメ系サイト、サッカー情報サイト「Ｇｏａｌ．ｃｏｍ（ゴール・ドット・コム」に広告を打っていることが判明。他にも数社あると言われている。

　これまでＴＢＳは、自社の「ＴＢＳオンデマンド」やユーチューブに動画配信したことはあっても、他のサイトに金を払ってまで広告を出したことはない。それだけにＩＴ関係者も首をかしげる。

「もともとテレビの予算をネットというライバルメディアに割くことは、将来的に自分たちの首を絞めかねない行為。現在、テレビ離れが進んでいる原因の１つは明らかにネットだ。今回のようなことをやってると、もっとネットの力が強くなる可能性がある」

　このネット広告をめぐっては実際、冒頭のＴＢＳ関係者いわく「局内でも反対の声はあった」そうだが、最終的にゴーサインが出た。１０月から「半沢直樹」と同じ日曜午後９時枠で始まる、ＳＭＡＰ木村拓哉（４０）主演ドラマ「安堂ロイド～Ａ.Ｉ.ｋｎｏｗｓ ＬＯＶＥ？～」が大コケ必至と言われているだけに、「半沢直樹」で勢いをつけておきたいからだ。

　ある芸能プロ関係者が声を潜める。「ハッキリ言って、『安堂ロイド』は局内でも『大丈夫か？』と心配の声が上がってます。ストーリーも映画『ターミネーター』にソックリだし、登場人物からしてＳＦ作品のパロディーばっかり。見た人はひっくり返ると思いますよ（笑い）。少しでも『半沢直樹』の勢いを借りたいのは分かります」

　ＴＢＳの言い分も聞いた。「確かに、ネットに動画広告を打つのは初めてです。ネットはライバルメディアと指摘する声もありますが、十分共存できると考えています。例えば『半沢――』のフェイスブックには約７万人のフォロワーがいる。両者がうまく連動することで、テレビを見ないネットユーザーをテレビに逆に連れ戻すことができるのではないでしょうか。今回、『半沢――』が高視聴率の理由の１つはそこでしょう」（ＴＢＳ関係者）

　この担当者いわく、上からは特に“ミタ超え”を指示されてないとのことだが、「『安堂――』につなげたい？　もちろん」とは認めた。「『半沢――』は最終回も放送当日ギリギリまで編集作業を行い、クオリティーにこだわります。その上で数字もよければうれしいですね」

　ＴＢＳは「半沢直樹」でドラマ史に名を刻むことができるか。

　（視聴率はビデオリサーチ調べ、関東地区）